チャプター 30

その日の午後、私はかなり早めに香舗へ向かった。ずいぶん前に頼んでおいた特製の調合を受け取るためだ。

マーシャは昔から香りが好きで、香料の種類や素材にかけてはほとんど専門家みたいな人だった。だから私は、シーシャイア市でいちばん名の知れた香りの店へよく足を運び、彼女だけの特別な香りを探したものだ。

前世のことは今でも覚えている。ガブリエルがイザベルの肩を持ったときも、マーシャだけはいつだって私の味方でいてくれた。彼女はガブリエルにきっぱり言い渡した――自分が認める妻は、私だけだと。

けれど悲しいことに、その後マーシャの体調は急に悪化した。あっという間に逝ってしまい、私は長いあいだ彼女の死を悼...

ログインして続きを読む